石倉洋子さん
石倉洋子さん
INTERVIEW

石倉洋子さん(一橋大学名誉教授)

アクションプランナーは、
わたしの頭脳の一部。

「刻々と変わる世界でもっとも平等で大切なのは時間。仕事を楽にできるように、いつも時間の組み立てを考えています」

大学で教鞭をとり、4社の社外取締役をつとめ、「グローバル・アジェンダ・ゼミナール」や「ダボスの経験を東京で」などのプロジェクトを推進しながら、様々な国際会議のパネリストとして「1年のうち4カ月は海外」と、世界で活躍する女性の筆頭とも言うべき石倉洋子さん。ご自身が「戦争のよう」と言われるほど多忙な日々をおくっています。

パッと一度に時間を見渡せて、使いようがいろいろある。

どんなに忙しくても毎日エクササイズを欠かさない、しかも毎日必ず6時間は寝ているという石倉さん。典型的な一日は、起きるとまず45分間運動。ストレッチやマシンなどで身体を動かしながら英語のポッドキャストでニュースを聞く。終わったらシャワーを浴びて、コーヒーを飲んで朝食。メールをチェックし、今日何をやるかをEvernoteにリストする。それから、クラスや会議などに出掛ける。移動中は大体英語のポッドキャストを聞き、会議の間に空き時間ができるとスターバックスなどでパソコンを開く……。夜は23時過ぎには就寝、「だから夜の会食はあまり行きたくないの(笑)」とも。
「ぼんやりしている時間はない」という石倉さんが、アクションプランナーを使いはじめたのは7、8年前。原色が好きで、現在使っているカバーは「赤」、2016年は「ピンク」です。他のスケジュール帳やグーグルカレンダーなどに比べると、1週間全体がひとめでわかるのが良く、さらに、「自分に合わせて使える、使いようがいろいろあるのが私には良い」と言います。では、石倉さんはどんな風にアクションプランナーを使っているのでしょうか?

石倉さん流、アクションプランナーの使いこなし。

まず、石倉さんは、翌年のカレンダーを活用しています。毎年秋ぐらいになると取締役会のスケジュールが来年末まで決まるので、早い段階からアクションプランナーの後ろのほうにある「次の年のカレンダー」に記入。進行中のプロジェクトなどその他のアポイントもどんどんカレンダーへ。すると、翌年のアクションプランナーを手に取る頃には予定満載になっているので、そのページを切り取って翌年に挟み込んで使っています。さらに、取締役会、グローバルプロジェクト、企業セミナー、大学のクラス、プライベートと、5つのカテゴリーがわかりやすいように色分けも。
もう一つ、石倉さん流のアクションプランナー活用法は、「PROJECTAT A GLANCE」のページ。ここはあまり使わないというユーザーの方も多いのですが、石倉さんの場合は、取締役会に何時間、どのプロジェクトに何時間とわかるように、1日7時間働く中でタスクごとに費やした時間を毎日書き込んでいるのです。「以前、学術会議か何かで、どれだけ時間を使っているのですか?と聞かれ、4割ぐらいかなと答えたんですけど、それじゃいけない、ファクトベースで行こうと思って書き出したのが3、4年前です」。
そして、そのファクトベースの時間を1週間、1カ月毎に集計し、年末には1年分をまとめて、何をどれだけ時間をかけてやったのか、全体で何パーセント使って行ったのかをチェック。さらに、何が上手くいったか、上手くいかなかったかと棚卸しをし、上手くいかなかったことに対しては対応策、解決策考えるそうです。

時間をかけずに楽に仕事ができる順番をいつも考えている。

「この世界の中で、一番大切なのは時間。みんなに平等に与えられていて、自分の自由になるのも時間。その時間をどう使えば仕事を楽にできるのか、そこが重要です」と語る石倉先生ご自身が、「どういう順番で行えば時間をかけずに効率的で楽に仕事ができるのか、いつも考えています」といいます。
それならば、時間の組み立てにアクションプランナーを活用されているに違いないと思い、聞けば、「私は頭の中で組み立てているので書かなくて大丈夫なんです」とのこと。実際に石倉さんのアクションプランナーは、スケジュールページには、どこに何時に行くなどのアポイントや原稿の締切、有機野菜が届くなどの備忘録だけを記入。超過密スケジュールなのにページは空白が多くなっています。「空白のところは、家で仕事をしている時間や、移動時間。原稿をまとまって書く時などは、半日単位でブロックしちゃうんだけど、それはここに書かなくても頭の中にあるからいいやって感じかな(笑)」。
1年の3分の1を海外で過ごし、時差は全く関係ないという、グローバルリーダーの石倉さん。フル回転し続ける頭脳は時間管理にも手を抜くことがありません。アクションプランナーは、その頭脳の一部分であり、また、頭脳を外部からサポートするスタッフでもあるようです。

PROFILE

石倉洋子

専門は、経営戦略、競争力、グローバル人材
上智大学外国語学部英語学科(BA)、バージニア大学大学院経営学修士(MBA)、ハーバード大学大学院 経営学博士(DBA)修了。マッキンゼー社でマネジャー。青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科教授。
日清食品ホールディングス、ライフネット生命、双日株式会社、株式会社資生堂の社外取締役、世界経済フォーラムのGlobal Agenda Council Future of Jobsのメンバー。
これまで、富士通株式会社、株式会社商船三井社外取締役、郵政公社社外理事、総合科学技術会議非常勤議員、日本学術会議副会長。その他、行政改革本部規制改革委員会委員、文部科学省中央教育審議会委員、産業クラスター研究会副座長、公正取引委員会独禁法懇話会委員、経済財政諮問会議専門委員会「選択する未来」Working Group委員など。 2010年より「グローバル・アジェンダ・ゼミナール」、2013年より「ダボスの経験を東京で」など、世界の課題を英語で議論する「場」の実験を継続中。
第7回・15回・16回・17回・20回 国際女性ビジネス会議にも登壇。
●著書:「世界で活躍する人が大切にしている小さな心がけ」(日経BP社)、「グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方」(東洋経済新報社)、「戦略シフト」(東洋経済新報社)、「世界級キャリアのつくり方―20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ」(東洋経済新報社)など、多数。

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